法然上人よって開かれた「専修念佛」の教え
浄土宗
お念佛を唱え往生を願う
「南阿弥陀佛(なむあみだぶつ)」これは誰もが一度は耳にしたことのある言葉です。そう「お念佛」です。「阿弥陀佛(あみだぶつ)」、「西方極楽浄土(さいほうごくらくじょうど)」、「往生(おうじょう)」もご存知ではないでしょうか?浄土宗とはこの「お念佛」を唱え、「阿弥陀佛(阿弥陀如来)」の在します「西方極楽浄土」へ「往生」(行き生まれること)を願う宗派です。
〇 目的=所求(しょぐ) 西方極楽浄土
〇 対象=所帰(しょき) 阿弥陀佛
〇 実践=去行(こぎょう) お念佛(南阿弥陀佛と唱える)
身も心も阿弥陀様におまかせし、この命が尽きる時には浄土に生まれること(往生)を目指し、だだひらすらに「南無阿弥陀佛」とお念仏を唱えることです。
法然上人
時代背景
法然上人の歩まれた平安末期から鎌倉時代は、貴族中心の世の中から武士が台頭する変革期であり、保元の乱、平治の乱が起こり、平清盛が太政大臣となるも壇ノ浦の戦いにて源氏に滅ぼされ、源頼朝が征夷大将軍となる時代でありました。この時代背景のもと、たびかさなる政争によって傷つけられた人々を救済するために、法然上人は専修念佛の教えを確立して、浄土宗を広めていかれました。
専修念佛
佛教には優れた行があるけれど私たちにどれも実践することが難しいのでどうしたらよいのかと法然上人が見つけられたのが阿弥陀様の本願(御心)にかなったお念佛の行でありました。
①身も心も阿弥陀様におまかせし、
②この命が尽きる時には浄土に生まれること(往生)を目指し
③ただひたすらに、「南無阿弥陀佛」とお念佛を唱える
浄土宗の信仰とは、「南無阿弥陀佛」と日々自分自身の行いの反省の中にお念佛申していくことです。
「おつとめ」の意義と構成
浄土宗は、さまざまな仏道修行のなかでも、お念仏をおとなえすることを大切にします。
とはいえ、お経をとなえることや、仏さまを礼拝するなどの修行を否定しているのではありません。むしろ、お念仏をおとなえする気持ちを強くするための助けとして位置づけているのです。長い歴史によって整えられたこの「おつとめ」は、阿弥陀さまを信じ、極楽往生を願う心を育み、そしてお念仏をおとなえする毎日を続けるための励みとなるよう作られたものです。
もちろん、そこにはご先祖さまをご回向し、ご供養する心も込められています。
「おつとめ」の流れ
まず心を落ち着けて、阿弥陀さまをはじめとした諸々の仏さま・菩薩さまをお迎えします。
次に、自らが過去から造り続けてきた悪業を懺悔し、仏さまが説かれた経典をお読みします。
そして「おつとめ」の要ともいえるお念仏をおとなえし、仏さま・菩薩さまをお見送りして終えます。
法然上人は、極楽往生への正しい修行法として正しい五つの行い(五種正行)を勧めています。それは、①声に出してお経を読むこと(読誦)、②阿弥陀さまや浄らかで美しい極楽浄土の様相をありありと心に思い描くこと(観察)、③一心に仏さま・菩薩さまを敬って礼をすること(礼拝)、④声に出してお念仏をおとなえすること(称名)、⑤仏さま・菩薩さまの徳をほめたたえご供養すること(讃嘆供養) の五つです。
「おつとめ」は、自然にこれらが修められるように、そして最も大切なお念仏へといざなってくれるように構成されているのです。
お仏壇の祀り方
みなさんがおつとめするにあたって、中心となるのがご家庭のお仏壇です。そもそもお仏壇とは、寺院の本堂を模して造られたものです。浄土宗のお寺は西方極楽浄土をイメージして作られたとされますので、皆さまのお家のお仏壇も極楽浄土の様相を表したもの、と言えるでしょう。お仏壇になくてはならないものとして、第一に挙げられるものがご本尊です。信仰の対象とする仏さまを指す言葉であり、浄土宗のご本尊は阿弥陀仏です。まだお祀りされていない場合は、ぜひお迎えください。阿弥陀さまには彫刻と仏画の二種類があり、さらに坐ったお姿、立ったお姿に分類されます。坐像は極楽浄土で私たちをお待ちになっているお姿を、立像は極楽浄土から私たちをお救いに来てくださるお姿を象っています。浄土宗では立像を基本としますが、すでにお祀りしているご本尊が坐像であっても、改めて買い替える必要はありません。
阿弥陀さまを中心に、向かって左に法然上人、右に善導大師(中国・唐時代にお念仏を弘めた高僧。法然上人が師と仰いだ方)もお祀りします。阿弥陀さまは観音菩薩、勢至菩薩をお側に従えているとお経に説かれることから、スペースに余裕がある場合は、向かって右に観音菩薩を、左に勢至菩薩をお祀りしましょう。
お参りの作法
阿弥陀さま、ご先祖への崇敬の思いを表す代表的な方法として、合掌、礼拝があります。ここで紹介する作法は、お仏壇だけでなく、お墓、寺院参拝の際にも共通するものです。
まず、合掌とは字のとおり、掌を合わせることです。
浄土宗では、指を閉じぴったりと合わせ、胸の前で四十五度ほど倒すかたち(堅実心合掌)が基本です。礼拝にも幾通りかありますが、合掌したまま頭を下げるのが基本です。このとき、首はまっすぐに上半身全体を腰から四十五度程傾けるのが正しく美しい形です。
また、浄土宗独自の作法として「同称(唱)十念」があります。」これは、同席しているすべての人と、声を合わせて十遍のお念仏をおとなえするもので、法要や法話の節目に行われるものです。僧侶の「同称十念」の発声を合図に、合掌し、次のようにとなえ、最後十遍目で同時に礼拝します。
なむあみだぶ なむあみだぶ なむあみだぶ なむあみだぶ
なむあみだぶ なむあみだぶ なむあみだぶ なむあみだぶ (ここでひと区切り)
なむあみだぶつ なーむあみだぶ(九遍目のみ、「つ」まで発音)
(※息が続かない場合には、四編目でひと区切りしてよいとされます)